年中になると広がる「いっしょに遊ぶ楽しさ」

――ぶつかりながら育つお友だちとの関係

年中になると、お子さまたちの世界は少しずつ広がっていきます。 
先生との関わりの中で安心して過ごすだけでなく、お友だちの存在がこれまで以上に大きくなってきます。 
「○○ちゃんと遊んだよ」 
「いっしょに作ったよ」 
「今日は○○くんと鬼ごっこした」 
そんなふうに、お友だちの名前が会話に出てくることも増えてくるかもしれません。 
一方で、「けんかした」「貸してくれなかった」「いやって言われた」といった話も出てきやすい時期です。 
保護者の方としては、仲良く遊べているとうれしい反面、ぶつかりが増えると心配になるものです。 
でも、年中クラスでのぶつかりは、ただ困ったこととしてだけ見る必要はありません。 
そこには、人とかかわる力が少しずつ育っている姿が見えています。 
 
1.「ひとりで遊ぶ」から「いっしょに遊ぶ」へ 
年少の頃は、同じ場所にいても、それぞれが自分の遊びを楽しんでいることが多く見られます。 
もちろんそれも大切な姿ですが、年中になると、少しずつ「お友だちといっしょに」という気持ちが強くなってきます。 
同じものを作りたい。 
同じ役になりたい。 
いっしょに走りたい。 
いっしょに笑いたい。 
そんなふうに、人と関わることそのものが楽しくなってくるのです。 
「友だちがいるから楽しい」という感覚が育ってくるのは、年中さんの大きな成長のひとつです。 
園での遊びや生活の中で、先生や友だちとかかわる楽しさを少しずつ感じられるようになっていきます。 
 
2.でも、まだ自分の思いも強い時期です 
一緒に遊びたい気持ちが育つ一方で、まだ、自分の思いを強くもつ時期でもあります。 
自分はこれをやりたい。 
この役がやりたい。 
今使いたい。 
こうしたかった。 
そうした気持ちがはっきりしてくるからこそ、お友だちと気持ちがぶつかることも増えてきます。 
一緒に遊びたいのに、自分の思い通りにはならない。相手にも相手の考えがある。 
そこに、取り合いや言い合いが生まれることがあります。 
大人から見ると、「せっかく一緒に遊んでいたのに、どうしてそんなことになるのだろう」と思うかもしれません。 
でも、これは自然な姿です。 
関わりたい気持ちが育ってきたからこそ、思いの違いもはっきり出てくるのです。 
 
3.ぶつかりは、関係づくりの途中にある姿です 
お友だちとの言い合いやけんかがあると、保護者としては心配になるものです。 
「仲良くできているのかな」 
「きつい言い方をしていないかな」 
「嫌な思いをさせたり、したりしていないかな」 
そう感じるのは自然なことです。 
でも、お友だちとのぶつかりは、相手と関わろうとしているからこそ起こるのです。 
ひとりで完結している遊びなら、大きなぶつかりは起こりにくいものです。 
でも、「いっしょに遊びたい」「いっしょにやりたい」という気持ちがあるからこそ、自分の思いと相手の思いが出会い、ときにはぶつかります。 
もちろん、ただぶつかればよいということではありません。 
でも、その経験の中で子どもたちは少しずつ、「相手にも気持ちがある」「思い通りにならないこともある」「ことばで伝えると伝わることがある」と学んでいきます。 
すぐに上手にできなくても、関わりの中で少しずつ育っていくのです。 
 
4.先生との関わりが、安心の土台になります 
年中クラスは、お友だちとの世界が広がる時期ですが、その土台には先生との安心できる関係があります。 
お友だちとうまくいかなかったとき。 
悲しかったとき。 
悔しかったとき。 
自分の気持ちをどうしたらよいかわからなくなったとき。 
そんなときに、先生に気持ちを受け止めてもらうことで、子どもはまた落ち着きを取り戻し、友だちとの関わりへ戻っていくことができます。 
つまり、先生はただ見守る存在ではなく、人との関わりを広げていくための安心の拠点でもあります。 
先生に支えられることで、子どもたちは友だちとのやりとりに少しずつ向かっていけるのです。 
 
5.おうちでは「うまくできたか」より「関わろうとしたこと」を見てあげてください 
保護者の方は、どうしても「今日は仲良く遊べたかな」「けんかしなかったかな」と結果が気になりやすいものです。 
でも、この時期に大切なのは、いつも上手にできることではありません。 
お友だちといっしょに遊びたいと思ったこと。 
自分の気持ちを伝えようとしたこと。 
うまくいかなくても、また友だちのそばに行こうとしたこと。 
そうした一つひとつも、年中クラスの大切な育ちです。 
おうちでは、「ちゃんとできた?」と結果だけを確かめるのではなく、 
「いっしょに遊びたかったんだね」 
「そうしたかったんだね」 
「言いたいことがあったんだね」 
と、気持ちに目を向けてあげられるとよいと思います。 
年中クラスは、ぶつかりながら、迷いながら、それでも少しずつ人との関わり方を学んでいきます。 
一緒に遊ぶ楽しさを知ることも、思いがぶつかって戸惑うことも、どちらも大切な育ちの途中です。 
 
焦らず、その子なりのペースで、お友だちとの世界が広がっていくのを見守っていけたらと思います。 
 
こちらも読んでみてください。 
https://note.com/rinsho_dai5kyo/n/n8193e9af05ec